【2007年9月訪問】
元です。
洞爺湖ウィンザーホテルのミシェルブラスで野菜料理を担当していた方の独立店。ミシェルブラス氏の創作料理、絵画のように並べられた野菜やハーブの料理である「ガルグイユ」が有名だが、こちらの店でも野菜のプレゼンテーションが素晴らしい。しかしそれ以上に、素材の美味しさとそれを最高に美味しく引き立てる調理が施された完成された野菜料理が食べられるお店として素晴らしいと思うのだ。
富良野のビストロ「ル・シュマン」の方が「北海道のお店は、素材自体の美味しさに頼って、その素材を美味しく調理するという意識に欠けているところが多いような気がします」と仰っていたのだが、こちらのお店でその言葉を思い出した。こちらは、野菜の素材へのこだわりはもちろん、それを美味しく食べるということに心血を注いでいることがはっきり分かったから。この日は札幌ならではの最高のランチタイムが過ごせた日。
円山方面へ向かう途中、細い緑道に面したマンションの1階にあるお店は閑静で、ガラスのファサードに映りこむグリーンが爽やか。「ミシェルブラス」という名前から想像するよりも随分とカジュアルなのも含め、店に入るところから心が和むのが分かる。
店内はすっきりシンプル。白とグリーンで統一したお花のアレンジメントが上品な華やかさを添えている。他に来ているお客さんも上品な御婦人方が多い。一人でいらしている御婦人と少し話しをしたのだが、そのマンションに住んでいる方のようで、よく一人でいらしているとのこと。ワインとランチを楽しんでいる70代(に見える)の婦人はカッコイイ。
お昼のメニューは1種類で2,100円の前菜、メイン、デザートのコースのみ。野菜たっぷりにすると2,500円。食いしん坊なので、当然2,500円の方をお願いする。
ワインを飲みながら、静かでゆるやかな時間を楽しんでいると1品目が運ばれてくる。
人参のジュース。見た目は普通の人参ジュースだが、飲むと、人参の味が非常に濃く、甘さと土のようなほろ苦さがある。大地を体に入れてる感じが美味い。後の引きをよくしているのはグレープフルーツを少し混ぜているためか。
パンは、しっとりむっちりタイプ。妻がタイプだそうで。
帆立のソテー、トマトコンフィ、つぶしたジャガイモ、トマト&帆立のヒモのジュ、高菜。
見た目の色が鮮やか。一方にはマッシュポテトの上にトマトのコンフィ、帆立が乗っており、もう一方はトマトの変わりに高菜が。
ソテーした肉厚の帆立は弾力があってジューシーで、火の入り方がバッチリ。トマトのコンフィも甘さと味の濃さがとんでもない。トマトを煮詰めたジャムのようだ。ポテトも高菜も美味い美味いとフォークが進む。
コショウ鯛のソテー、貝の出し汁を加えた温野菜とそのジュ、時季のハーブ。まるで絵のような1皿。
蕪やら人参やら色んな根菜が薄くスライスされ、ムール貝と共に敷かれている。その上にこしょう鯛とハーブがアレンジされている。
皮がパリッとしたコショウ鯛はもちろん美味しいのだが、やっぱり野菜の美味しさが目立つ。ひとつひとつの野菜の味がしっかりするのはもちろん、それぞれの野菜ごと絶妙な食感がある。きっと野菜別に調理するんだと思われるが、15種類以上はあるであろう野菜それぞれに手を入れるのは手間のかかることだろう。ムール貝のソースも味わい深くて淡白な野菜たちとよく合っている。
野菜素材に頼るのでなく、それをもっと美味しく調理する、ということはこういうことなんだろう。単なる野菜のプレゼンテーションということではない価値をこういうところに強く感じる。
りんごのコンポート、バニラのアイス、ブラックベリーのジュ、細かくくだいたサブレ。甘いものは妻の担当。曰く、アイスは濃厚、リンゴは洋ナシのような歯ざわりを残した食べ応えのあるもので、一見あっさりなんだけど満足度が高いそうだ。
コースと別でお願いしたコーヒーと一緒に出てきたパウンドケーキ。ごまと、カシスかアプリコットかの酸味のあるものの2種類。
ワインをグラスで1杯、ビール1杯と料理、コーヒーで2人で8,000円。全体に非常に満足度が高い。またこなければ。洞爺湖のミシェルブラスは機会が無く未訪だが、ミシェルブラスと共にその日本人料理長の独立店「MiYa-Vie(ミヤヴィ)」も行ってみなければ、と思わせる。
オススメ料理:とにかく野菜
オススメ度:★★★★☆
予算:2,100円〜(ランチ)
札幌・フランス料理「タグチジュンイチ」
011-222-0926
札幌市中央区北4条西14-1-16ライオンズガーデン植物園103
札幌アリアンス・フランセーズ
〒060-0062
札幌市中央区南2条西5丁目10-2 南2西5ビル2階
TEL: 011-261-2771
FAX: 011-261-1507
URL: http://www.voicenet.co.jp/~afsap/afsap_jp.htm